2008年12月24日

トヨタ、今期営業赤字1500億円

日本経済新聞 2008.12.23( 1面)

トヨタ自動車は22日、2009年 3月期の業績予想の下方修正を発表。
営業損失が1500億円となる見込み。
日本企業で最強を誇ってきたトヨタ自動車が戦後初の営業赤字
転落する。

ここ数年、グローバル市場で業績を急拡大させてきたトヨタ
直撃したのは、米欧金融危機による世界景気の急速な冷え込みだ。

新興市場を含む海外で自動車販売が落ち込み、対ドルや対ユーロ
での大幅な円高がダブルパンチとなった。

来期も黒字化は微妙で、経営環境の先行きはかつてなく厳しい。

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今日のCONTENTS

1.トヨタの下方修正
2.損益分岐点分析

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1.トヨタの下方修正

トヨタは2008年4−9月期決算を発表した11月に
今期の営業利益予想を1兆6,000億円から6,000億円に見直した
ばかり。
(バックナンバー 2008.11.07 トヨタ今期1兆円下方修正 参照)

それからわずか1カ月余で7,500億円の減額修正に
追い込まれました。

最大の誤算は世界販売の急減。
11月の米新車販売が前年比で34%減になるなど販売減だけで
5,700億円もの減益要因が発生しました。

連結販売計画は今期、3度の修正を迫られました。
期初時点では前期比微増の 906万台を計画していましたが、
主力の北米市場の低迷に加え、これまで好調な販売が続いていた
中国など新興国でも新車販売が失速。
今回公表した販売計画は754万台で、期初計画からは実に
150万台余りもの下方修正となります。

想定を大幅に上回る円高も誤算でした。
トヨタは今下期の為替レートを対ドルで 100円から93円に、
対ユーロでは130円から123円に変更しました。
円高が1円進むと半期ベースで対ドルでは 200億円、
対ユーロでは訳30億円の営業減益要因となります。
その他通貨を含めると円高で 2,000億円の営業利益が
失われる計算となります。

2.損益分岐点分析

非常に単純な方法で損益分岐点分析をしてみます。
あらかじめお断りしておきますが、社内では豊富なデータに基づき
精度の高い分析を行っているはずですが、ここでは分かりやすく
するために単純化します。

2008年3月期
売上高  262,892億円
営業費用 240,188億円
営業利益  22,704億円

2009年3月期(予想)
売上高  215,000億円
営業費用 216,500億円
営業利益 ▲1,500億円

この2年間のデータを使います。
前提条件として、営業費用は変動費と固定費に分けられ、
固定費は一定、変動費は売上高に比例して増減するものと
仮定します。

営業費用 = 売上高 × 変動比率 + 固定費
という式で表すことができます。

2年間の売上高と営業費用が分かっているので、
変動比率と固定費を変数として連立方程式を解くと、
変動費=50%、固定費=109,000億円となります。
(変動比率は割り切れないので固定費は誤差があります)

では、損益分岐点はどうなるでしょうか?
ここでは営業利益がゼロになる売上高を損益分岐点とします。
ということは、売上高=営業費用となるので、売上高、営業費用を
同じ変数として一次方程式で求めることができます。
ただ、損益分岐点 = 固定費 / (1−変動比率)
という公式があるので、それにあてはめると、
損益分岐点=218,000億円となります。

新聞では来期も黒字化は微妙と記載されていましたが、
シミュレーションしてみましょう。
2009年3月期の売上高は対前期比で18.2%の減少見込みです。
来期も販売不振が続き、売上高が20%減少すると仮定すると、
売上高は172,000億円となります。
変動比率と固定費が変わらないとすると、23,000億円の営業損失
となってしまいます。

売上高が減少しても利益を出せるようにするためには、
コストを削減するしかないのです。
別の言い方をすると、変動比率を下げ、固定費を削減することに
より、損益分岐点を下げるのです。

トヨタは、経営改善策として、以下のコスト・人件費削減を
挙げています。
・固定費の10%削減
・「緊急収益改善委員会」での2008年度の原価低減(800億円)、
 経費(500億円)の削減
・役員賞与、今期支給見送り
・期間従業員は約4700人(11月末時点)から来年3月末に3000人
 に削減

これらは、いずれも変動比率を下げたり、固定費を削減する対策で、
損益分岐点を下げる効果のあるものです。

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posted by yamataka at 00:15 | Comment(6) | TrackBack(1) | 管理会計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今回も面白い記事ありがとうございます。

損益分岐点の計算、なるほど〜。
それにしても各社、凄い勢いでリストラに走っていますよね。会社の存続第一ですから、しょうがない。まあ、大企業だからなせる業、中小零細企業はこうはいかないですもんね。

話は変わるのですが、株式会社を設立する事によるメリット、色々有ると思うのですが、最大の物はなんなのでしょうか?弱小企業は節税効果、ある程度の規模になった時は上場益獲得、あくまでもオーナーの立場で、お金儲けに焦点を当てた場合の事に関してなんですが。

節税の為に別会社を立ち上げるとかよく聞くのですが、これはどうゆう手法を取っているんでしょうか?

よろしくお願いします。
Posted by 荒谷 at 2008年12月24日 01:10
コメントありがとうございます。
面白いと言っていただけるとうれしいです。
ブログの投稿しがいがあります。
実は、トヨタの業績悪化の記事と損益分岐点を
結びつけたら面白いかなーと思っていました。

節税で会社を立ち上げる件に関しては経験がないのでよく分かりませんが、
調べて記事にしようと思います。

よろしくお願いします。
Posted by yamataka at 2008年12月24日 20:59
結局、ここで回答してしまいました。

上場益獲得は会社を設立して規模が大きくなってからのことなので、設立時にしぼって回答します。

株式会社設立の最大のメリットは、やはり節税だと思います。個人だと累進課税で所得が多くなれば税率が上がるので、株式会社設立により節税できます。
Posted by yamataka at 2008年12月28日 22:36
いつも、ありがとうございます。

日本の法人税は地方分も入れると大体45%くらいですよね?これだと正直な所得申告を妨げる要因になるような気がするんですが、やはり、経費として計上できる項目が多いのと、現金の支出を伴わない経費の計上が出来る事が法人のメリットなんでしょうか?

あと、子会社への出資は経費として計上できるんでしょうか?
Posted by 荒谷 at 2008年12月29日 15:10
回答が遅くなり、申し訳ありません。

所得税率については、所得が900万円超1800万円以下の場合33%で、1800万円超の場合40%となっています。それに住民税も加わります。所得がいくらになったら会社設立が有利かは計算してみないとわかりません。

あと、子会社への出資は「関係会社株式」として資産計上され、経費にはなりません。
Posted by yamataka at 2009年01月06日 23:19
はじめまして!

ちょっと興味を持ち拝見させていただきました♪

ヨロシクです(^^)v
Posted by ★なべちゃん at 2009年02月14日 23:04
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