2009年06月08日

2009年3月期 特損、6年ぶり高水準

日本経済新聞 2009.06.04(13面)

日本企業の2009年3月期の収益悪化は需要の急減だけが要因では
ない。

主要国経済が収縮する中でも継続的に利益を稼げる体質を築くため、
事業構造改革に必要な費用など一時的な損失を計上したことも
最終赤字を膨らませた。

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今日のCONTENTS

1.2009年3月期の特損
2.「のれん」の会計処理

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1.2009年3月期の特損

日本企業が2009年3月期に計上した特別損失は6兆1,122億円。
2008年3月期の約1.6倍に急増し、2003年3月期以来6年ぶりの
水準に達しました。

株式相場などの下落で有価証券評価損が1兆3,553億円と
約3.8倍に膨らんだこともありますが、目を引くのが生産設備
などの減損損失です。

生産設備などの減損損失計上が相次ぎ、合計額は1兆4,183億円と
前期比で倍増しました。
外需の急減に見舞われた電機や自動車で多額の減損処理を
実施したケースが多く、電機は全体に占める比率が急増しました。

M&Aの増加を反映して、のれんの償却を実施した企業も
多く見られました。
2009年3月期に1,148億円と連結決算開始後最大の最終赤字に
転落したオリンパスは、情報通信子会社ITXなど複数の
子会社を対象にのれんを一括償却。
762億円を特別損失に計上しました。

2009年3月期に大きな傷を残した特損計上ですが、人件費の
削減や設備などの減損処理は、固定費の圧縮に直結し、
身軽になる意味もあります。

これをV字回復につなげられるか、注目です。

2.「のれん」の会計処理

特別損失の項目をいくつか挙げましたが、その中で「のれん」
について説明します。

「のれん」とは、企業を買収したときなど、取得価額が
被買収企業の純資産を超過する額のことをいいます。
逆に、取得価額が下回る場合は「負ののれん」といいます。

大雑把にいうと、被買収企業の純資産より高く買った場合は
「のれん」、安く買った場合は「負ののれん」ということです。

現在の日本の会計基準では、「のれん」は無形固定資産に計上し、
20年以内で均等償却(販管費)、
「負ののれん」は固定負債に計上し、20年以内に営業外収益に
計上することになっています。

国際財務報告基準(IFRS)とのコンバージェンスの一環で、
会計基準の改正が行われ、「負ののれん」は負債計上せず、
一括で特別利益に計上することになります。

一方、「のれん」についてはIFRSでは償却しないことに
なっており、「のれん」の価値が毀損したときに減損を行います。
日本基準もいずれそのようになると思われます。

「のれん」を減損するということは、対象となる連結子会社等の
業績が悪いということですから、連結PL上はマイナスの要素が
すでに発生していることになります。
さらに特別損失を計上するわけですから、連結PL上は
連結子会社の業績悪化の影響に加え、「のれん」の減損が
ダブルパンチで効いてくるということになります。

何だか繰延税金資産の取り崩しと似たような影響ですね。
現在の会計は、業績が悪化すると加速度的になる要素がある
という点で注意が必要です。

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バックナンバー

2008.10.04 国際会計基準がやってくる2
2009.03.16 M&A会計最前線 新基準を読む3

参考書籍

国際会計基準IFRS完全ガイド―経営・業務・システムはこう変わる!! (日経BPムック)

図解・イラストによるIFRS国際会計基準入門

なるほど図解 IFRSのしくみ (CK BOOKS)

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posted by yamataka at 00:47 | Comment(2) | TrackBack(0) | 連結財務諸表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
減損の個別と連結会計の処理の違いにおしえてください。
連結で減損処理をする場合は単に個別会計
の積み重ねでいいのでしょうか。または連結ベースで減損処理をする。というのはAという個別の会社の個別ベースで行うのと、連結ベースでAで割り振った減損損失
の金額が違うと減損会計の本に書いていました。
Posted by 天神橋 at 2009年07月20日 16:31
天神橋様

コメントいただき、ありがとうございます。
2009年7月22日の記事「減損会計 個別と連結」に
回答をアップしましたので、そちらをご覧
いただけますでしょうか。

今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by yamataka at 2009年07月22日 03:57
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