2011年03月07日

2011年3月期決算留意事項2

2011年3月期決算の留意事項第2弾。
本日のテーマは「包括利益」です。

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今日のCONTENTS

1.「包括利益の表示に関する会計基準」について
2.包括利益計算書作成上の留意点

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1.「包括利益の表示に関する会計基準」について

昨年の6月30日に、企業会計基準委員会(ASBJ)から公表された
「包括利益の表示に関する会計基準」がいよいよ適用になります。

2011年3月31日決算の連結財務諸表から包括利益計算書
見られるようになるのです。

この会計基準は、IFRSとのコンバージェンスの一環として
導入されたものですが、適用にあたり、経済界等から強い反発が
ありました。

その結果、個別財務諸表について導入するかどうかの結論は1年
先送りになりました。
また、包括利益の各項目別の税効果の金額の注記と、
組替調整額の注記も1年先送りになりました。

今日は、包括利益計算書作成上の留意点について簡単に説明
します。

留意点を見る前に、まずは定義をおさえておきましょう。

「包括利益」とは、、ある企業の特定期間の財務諸表において
認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する
持分所有者との直接的な取引によらない部分をいう。

要するに、包括利益とは純資産の期首と期末の差額のことを
言います。
ただし、増資等の資本取引による増減は除きます。

「その他の包括利益」とは、包括利益のうち当期純利益及び
少数株主損益に含まれない部分をいう。

2.包括利益計算書作成上の留意点

まず最初に、2計算書方式か1計算書方式かの選択があります。

将来的には、1計算書方式に一本化される可能性がありますが、
包括利益に対する抵抗感と当期純利益を最重要指標と考える
経営者が多いことから、2計算書方式で開示する企業の方が
多いのではないでしょうか。

それぞれの表示例は以下のとおりです。

2計算書方式

<連結損益計算書>
売上高             10,000
−−−−−−−−
税金等調整前当期純利益      2,200
法人税等              900
少数株主損益調整前当期純利益   1,300
 少数株主利益           300
当期純利益            1,000

<連結包括利益計算書>
少数株主損益調整前当期純利益   1,300
その他の包括利益
 その他有価証券評価差額金     530
 繰延ヘッジ損益          300
 為替換算調整勘定        △180
 持分法適用による持分相当額    50
  その他の包括利益合計      700
包括利益             2,000

(内訳)
親会社株主に係る包括利益     1,600
少数株主に係る包括利益       400

1計算書方式

<連結損益及び包括利益計算書>
売上高             10,000
−−−−−−−−
税金等調整前当期純利益      2,200
法人税等              900
少数株主損益調整前当期純利益   1,300
 少数株主利益(控除)       300
当期純利益            1,000

 少数株主利益(加算)       300
少数株主損益調整前当期純利益   1,300
その他の包括利益
 その他有価証券評価差額金     530
 繰延ヘッジ損益          300
 為替換算調整勘定        △180
 持分法適用による持分相当額    50
  その他の包括利益合計      700
包括利益             2,000

(内訳)
親会社株主に係る包括利益     1,600
少数株主に係る包括利益       400


次のポイントは、包括利益計算書では親会社持分だけでなく、
少数株主持分も含めて表示するということです。


そのため、2計算書方式では少数株主損益調整前当期純利益から
スタートし、1計算書方式では当期純利益に少数株主利益を
加算するのです。

純資産の変動を表す財務諸表としては、株主資本等変動計算書が
ありますが、このうちの評価・換算差額等(2011年3月期からは
その他の包括利益累計額)の増減には、少数株主持分が
含まれないため、包括利益計算書とは整合しません。

そのため、表面上の財務諸表上では整合性の検証ができないのが
やっかいなところです。
別途、包括利益計算書の整合性をチェックするシートを作成
する必要があるでしょう。

また、2011年3月期では組替調整額の注記は不要ですが、
来年必要になるので組替調整額の表も作成しておく必要が
あるでしょう。

まだまだいろいろありますが、長くなったので今日はこのくらいに
しておきます。

作成者にとってもやっかいな財務諸表が増えましたが、
関係者以外で包括利益計算書の内容を理解できる人はどのくらい
いるのでしょうか?

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バックナンバー

2009.12.26 「包括利益の表示に関する会計基準(案)」公表
2010.06.07 包括利益、企業側が難色
2010.06.12 包括利益、連結で導入へ
2010.07.05 「包括利益の表示に関する会計基準」の公表

参考書籍

包括利益経営 IFRSが迫る投資家視点の経営改革

導入前に知っておくべき IFRSと包括利益の考え方

包括利益・過年度遡及の決算対応―財務諸表の表示が変わる!

設例でわかる包括利益計算書のつくり方

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posted by yamataka at 00:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 連結財務諸表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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