2013年03月14日

のれんについて(3)

今回は、「のれん」の償却について、日本基準とIFRSの違いを見ていきます。

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今日のCONTENTS

1.日本基準とIFRSの違い
2.両者の違いがもたらすもの

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1.日本基準とIFRSの違い

前回は、「のれん」を計上するところまで説明しました。
では、「のれん」を計上した後はどうなるのでしょうか?

日本基準とIFRSでは取り扱いが異なります。
今回は、その違いについて見ていきます。

○日本基準

日本基準では、「のれん」の償却について、以下のように規定されています。

「のれんは、資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理
的な方法により規則的に償却する」
(企業結合に関する会計基準32項)

なお、「のれん」は「固定資産の減損に係る会計基準」の適用対象資産になることから、規則
的に償却を行う場合であっても、必要な場合は同基準に従った減損処理が行われることになり
ます。

これらをまとめると、日本基準で資産計上された「のれん」が費用化されるのは、
(1)規則的な償却
(2)減損
の2種類ということになります。

○IFRS

一方、IFRSでは「のれん」は償却を行わず、毎期減損テストを行い、必要な場合は減損処
理を行うことになります。

2.両者の違いがもたらすもの

細かい話をすると「のれん」の範囲の違いはありますが、日本基準とIFRSの最大の違いは、
償却するかしないかということになります。

この理論的な背景については、それぞれ主張する理由がありますが、ここではその議論は省略
して、会計基準の違いがどう現れるかを見ていきます。

特定の企業が日本基準とIFRSの2種類の財務諸表を作成する場合を想定してみます。

日本基準では前述のとおり、「のれん」を償却します。したがって、日本基準とIFRSの財
務諸表を比較すると、償却費の分だけ日本基準の方が利益が少なくなります。

一方、投資先企業の業績が急激に悪化して減損が必要になった場合、IFRSでは毎期の償却
を行わず、いきなり減損するわけですから、IFRSの方が減損の影響(減損損失の金額)が
大きくなります。

海外企業の大型買収案件のニュースで想像を絶する金額の「のれん」が発生したとの記事を目
にすることがあります。このような場合、日本基準かIFRSかによって、財務諸表の数値は
大きく変わってきます。

そのような点を注目しながら、IFRSを適用する日本企業を見ても面白いと思います。

ここで注意すべき点は、「のれん」の会計処理の相違によってキャッシュ・フローが変わるわ
けではないので、「のれん」を償却するか否かによって利益の金額が大きく変わるかもしれま
せんが、企業の実態はまったく変わらないということです。

M&Aを行う場合、
・買収した時点でその企業の価値をどう判断するか?
・買収後にどうやってグループ全体の企業価値を高めることができるか?
が重要であって、「のれん」の後処理によって、M&Aの成否が決まるわけではないのです。

以上、3回シリーズで「のれん」について説明しました。
「のれん」については、ひとまずこれで終了といたします。

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バックナンバー

2013.02.17 のれんについて(2)
2013.01.27 のれんについて(1)

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posted by yamataka at 21:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 連結財務諸表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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